「若手がすぐ辞める」は、本当に悪いことなのか
最近、
「若手がすぐ辞める」という話を、
よく耳にします。
数ヶ月。
あるいは一年以内。
せっかく採用したのに。
時間をかけて教えたのに。
会社側からすると、
やはり簡単には割り切れません。
一方で、
働く側の感覚も、少し変わってきています。
昔は、
「まずは3年」という言葉が、
半ば常識のように存在していました。
合わなくても続ける。
我慢しながら慣れていく。
そういう考え方には、
たしかに意味もあったのだと思います。
実際、
最初は違和感があっても、
働いていく中で、
その会社の良さが見えてくることもあります。
仕事内容よりも、
人間関係が合っていた。
派手さはないけれど、
安心して働ける会社だった。
そういうことは、
実際によくあります。
だから、
「すぐ辞めること」が、
いつも正しいとも限りません。
ただ同時に、
「長くいること」が、
そのまま正しいとも言い切れなくなっています。
今は、働き方も、価値観も、
以前よりずっと多様になりました。
転職そのものが、
特別なことではなくなっています。
いろいろな会社を経験しながら、
自分に合う場所を探していく。
そういう時代になったとも言えます。
ある意味では、
以前よりも、自分の適性を探しやすい時代です。
これは、
悪いことばかりではありません。
ただ、その変化の中で、
象徴的に語られるものがあります。
退職代行です。
少し前までは、
かなり特殊なサービスに見えていました。
でも今は、
そこまで珍しい存在ではなくなりました。
もちろん、
本当に強いストレスの中で、
自分では辞めると言い出せなかった人もいると思います。
その意味では、
必要とされる場面も、
実際にあるのでしょう。
ただ一方で、
法律上、退職は本来それほど難しいものではありません。
期間の定めのない雇用契約であれば、
原則として、
退職の意思表示から2週間で終了します。
極端に言えば、
メール一本でも成立はします。
それでも退職代行が広がるのは、
「辞められない」のではなく、
「辞めると言えない」空気が強くなっているからかもしれません。
ここには、
今の働き方の特徴が出ています。
人間関係を壊したくない。
気まずくなりたくない。
直接言う負担を避けたい。
そういう感覚が、
以前より強くなっている。
逆に言えば、
会社側も、
「辞めるまで気づけなかった」ということが増えています。
昔のように、
多少合わなくても我慢して残る、
という前提が弱くなったからです。
だからこそ、
これからの会社には、
別の視点が必要になるのかもしれません。
長く働かせることではなく、
「この会社は自分に合う」と感じてもらえること。
条件だけではなく、
働き方。
考え方。
人との距離感。
そういうものも含めて、
会社を選ぶ時代になっています。
定着率だけを見れば、
短期間で辞めることは、
マイナスに見えるかもしれません。
でも実際には、
合わない場所で無理を続けることが、
必ずしも幸せとは限りません。
逆に、
合う場所に出会えた人は、
驚くほど自然に長く続くこともあります。
「辞めないこと」が目的なのか。
それとも、
「合う場所で働けること」が目的なのか。
これからは、
その前提自体が、
少しずつ変わっていくのかもしれません。
