“働きやすい会社”だけでは、人は残らなくなった
最近は、
「働きやすい会社」という言葉を、
よく聞くようになりました。
休日。
福利厚生。
リモートワーク。
フレックス。
少し前までなら、
それだけで「良い会社」と言われていたものが、
今はかなり整ってきています。
実際、
働く環境は、
昔よりずっと良くなっている部分もあると思います。
それでも、
人が定着するとは限らない。
ここに、
今の会社が抱えている難しさがあります。
休みは多い。
残業も少ない。
人間関係も悪くない。
それなのに、
なぜか人が辞めていく。
逆に、
決して楽ではないのに、
人が長く残る会社もあります。
この違いは、
どこにあるのでしょうか。
少し前までは、
「働きやすさ」は、
かなり分かりやすいものでした。
給料。
休日。
労働時間。
条件を整えれば、
人は定着する。
ある意味では、
そういう時代だったのだと思います。
でも今は、
少し事情が変わってきています。
働き方が多様になり、
転職も珍しくなくなりました。
SNSを見れば、
いろいろな働き方が流れてきます。
もっと自由な会社。
もっと楽しそうな仕事。
もっと自分らしく働けそうな場所。
そういう情報が、
常に目に入ってくる。
その中で、
人は単に「楽かどうか」だけでは、
会社を選ばなくなっています。
ここで最近よく聞くのが、
「人的資本経営」や「ウェルビーイング」という言葉です。
少し前までなら、
こういう言葉は、
どこか理想論のようにも聞こえました。
でも今は、
経営そのものの話として語られるようになっています。
それは結局、
「人が続かない」という現実があるからだと思います。
人が採れない。
育たない。
定着しない。
そうなると、
会社は初めて、
「人そのもの」が経営資源なのだと、
本気で考え始めます。
ただここで、
少し誤解されやすい部分があります。
ウェルビーイングというと、
どうしても、
「優しい会社」
「快適な会社」
のように聞こえることがあります。
もちろん、
働きやすさは大切です。
でも実際には、
それだけでは、人は残りません。
人は、
単に楽だから働き続けるわけではないからです。
自分の役割がある。
必要とされている感覚がある。
成長している実感がある。
そういうものがあると、
人は意外と頑張れたりします。
逆に、
どれだけ条件が良くても、
自分の意味が感じられない場所は、
少しずつ苦しくなっていくことがあります。
つまり、
これからの「働きやすさ」は、
単なる快適さだけでは足りないのかもしれません。
条件だけではなく、
納得感。
ただ優しいだけではなく、
自然に役割を感じられること。
そこまで含めて、
ようやく「働きやすさ」になる。
そんな時代に、
少しずつ変わってきている気がします。
もちろん、
正解は一つではありません。
人によって、
合う働き方は違います。
自由な方が力を出せる人もいれば、
ある程度ルールがある方が安心できる人もいる。
だから結局、
大切なのは、
「働きやすい会社か」ではなく、
「その人に合っている会社か」
なのかもしれません。
人的資本経営という言葉の本質も、
単に人を大切にすることではなく、
その人が、
無理なく、納得感を持って、
長く力を発揮できる状態を、
どう作るか。
そこにあるのだと思います。
“働きやすい会社”だけでは、
人は残らなくなった。
でも逆に言えば、
人が自然に残る会社には、
条件だけでは説明できない何かが、
ちゃんとあるのかもしれません。
