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コラム

身近な労務に関すること

新卒初任給40万円の「中身」は、どうなっているのか

  • 4月9日
  • 読了時間: 3分

新卒の初任給が40万円。

その数字だけを見ると、

時代が変わったのだな、と思います。


実際、2026年度の新卒初任給を前年度より引き上げる企業は67.5%で、

平均引き上げ額は9,462円でした。

初任給を上げる流れそのものは、もう一部の例外ではなく、かなり広がってきています。


ただ、こういう話題のときに、

いつも少し気になることがあります。


それは、

見えている金額が、

そのまま実態とは限らない、ということです。


たとえば「初任給40万円」と聞くと、

月給40万円の人が入ってくる、

という印象を持ちます。


もちろん、そういう会社もあります。


ただ実際には、

固定残業代を大きく含んでいたり、

賞与とのバランスで設計されていたり、

その後の昇給カーブがかなり緩やかだったり、

同じ40万円でも中身はかなり違います。


話題になった企業の中には、初任給40万円に固定残業代80時間分を含めていた例もありました。

別の企業でも、初任給35万4,000円に固定残業代を含む設計が報じられています。

数字だけが独り歩きしやすいけれど、内訳まで見ると、見え方はずいぶん変わります。


ここが、

いちばん大事なところかもしれません。


給与は、

ただ高ければいい、というものではありません。


その金額に、

何が含まれていて、

何が含まれていないのか。


そして、

入社したあと、

どう上がっていくのか。


その流れまで見ないと、

本当の意味では、

その会社の給与水準は分からないことがあります。


初任給だけ高くても、

昇給がほとんど動かないなら、

数年後には、別の違和感が出てきます。


逆に、

初任給は派手ではなくても、

役割や成長に応じて、

きちんと上がっていく会社もあります。


その違いは、

入社時点では見えにくいのですが、

働き始めると、だんだん効いてきます。


だから、

新卒40万円というニュースは、

単なる採用の話ではないのだと思います。


それは、

その会社が


どこに人件費を配分しているのか。

何を期待しているのか。

どこで人を惹きつけようとしているのか。


そういう考え方が、

いちばん分かりやすい形で表に出る場面でもあります。


既存社員とのバランスが気になる、

という声が多いのも、

たぶんそこです。


金額そのものというより、

その金額が、

会社の中でどう説明されるのか。


なぜ新卒がその水準なのか。

では、今いる社員はどう見ているのか。

その先の評価や昇給は、どうつながっているのか。


そこが整理されていれば、

大きな問題にはなりません。


ただ、そこが曖昧なまま、

採用競争の数字だけを追いかけると、

あとから調整が難しくなることがあります。


人事の問題は、

金額の問題に見えるときほど、

中身の設計の方に表れます。


新卒40万円という話も、

高いか安いかを議論するより、

その40万円が、

何でできているのかを見る方が、

ずっと実務的なのだと思います。


そしてたぶん、

会社の考え方は、

そういうところに、いちばん静かに出ます。

 
 
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