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コラム

身近な労務に関すること

「忙しくなる前に、人を採る」は今でも正しいのか。

8月9日
読了時間: 5分

経営について、こんな話があります。


「忙しくなってから人を採るのでは遅い。忙しくなる前に採用しておく。」


先に人を採れば、仕事を受ける余裕ができます。


余裕ができれば、新しい仕事も取りにいける。


だから、


仕事が増える。人を採る。


ではなく、


人を採る。仕事を増やす。


この順番が大事だ、という考え方です。


なるほど、と思います。


人を採用しても、翌日からすぐに戦力になるわけではありません。


募集して、採用して、仕事を覚えてもらう。


それなりに時間がかかります。


仕事が増えてから慌てて採用していたのでは間に合わない。


だから、余裕のあるうちに人を採っておく。


これは今でも、合理的な考え方だと思います。


ただ、AIやさまざまなツールが急速に進化している今、少し違う見方もできるようになりました。


先につくるべきなのは、本当に「人」なのだろうか。


本当に必要だったのは「余力」

そもそも、なぜ忙しくなる前に人を採るのでしょう。


目的は、従業員数を増やすことではありません。


仕事が増えたときに、


「もうこれ以上はできません」


とならないためです。


つまり、本当に必要だったのは人そのものではなく、


仕事を受けられる余力。


言い換えれば、会社のキャパシティだったのだと思います。


100の仕事をしている。


来年は150になるかもしれない。


それなら今のうちに人を採って、150を受けられる状態にしておこう。


以前は、これが一番分かりやすい方法でした。


ところが今は、150を受けられる会社にする方法が、人を増やすことだけではなくなってきました。


キャパシティは、人以外でもつくれる

AIやクラウドサービスは急速に進化しています。


情報を探す。


資料を整理する。


文章をまとめる。


データを集計する。


これまで人が時間を使っていた作業の一部を、AIやシステムに任せられるようになってきました。


それだけではありません。


そもそも必要のない仕事をやめる。


二重入力をなくす。


承認を減らす。


外注する。


仕事の流れそのものを変える。


こうしたことでも、会社のキャパシティは増やせます。


もちろん、AIやシステムを入れれば、それだけで生産性が上がるわけではありません。


仕事の流れを変えないまま新しいツールだけを入れても、使うものが一つ増えただけ、ということもあります。


大事なのはAIを入れることではなく、


今の人数で、どこまでできる会社にしておくか。


なのだと思います。


「忙しい」と「人が足りない」は同じなのか

会社が忙しくなると、


「人が足りない」


と考えます。


でも、この二つは本当に同じなのでしょうか。


昔から続いている仕事。


何度も入力している同じ情報。


ほとんど使われていない資料。


確認するための確認。


それらが積み重なって、忙しくなっていることもあります。


そこへ人を一人増やせば、確かに少し楽になります。


でも場合によっては、


忙しい仕組みを、そのまま大きくしただけ


なのかもしれません。


だから、人を採る前に一度だけ考えてみる。


この仕事は本当に必要なのか。


もっと簡単にできないか。


AIに任せられないか。


仕組みにできないか。


それでも人が必要なのか。


この順番は、これからかなり重要になると思います。


利益の残り方も変わる

もう一つ、経営上大きいのがコストです。


人を採用すれば、給与だけでなく、会社負担の社会保険料、採用費、教育に使う時間なども増えます。


人が増えれば、管理やコミュニケーションも増えていきます。


もちろん、その人がそれ以上の価値を生み出すのであれば、採用する意味は十分にあります。


一方で、AIや業務改善によって、今いる人数のまま仕事を増やすことができれば、売上の増加に比例して人件費まで


増やさずに済む可能性があります。


その分、利益は残りやすくなる。


利益が残れば、


給与を上げる。


設備に投資する。


新しい事業を始める。


そして、本当に必要な人材には、より良い条件を提示する。


という選択肢も増えます。


そう考えると、


売上を増やす前に、売上が増えたときに利益が残る構造をつくっておく。


これも、立派な先行投資なのだと思います。


それでも、人を採る

もちろん、


「これからは人を採らなくていい」


という話ではありません。


AIがどこまでできるようになるのかは、まだ分かりません。


だからこそ、「これは人の仕事」「これはAIの仕事」と最初から決めてしまわない方がいいのかもしれません。


AIに任せられるところは任せる。それでも人がやった方が価値の高い仕事に、人の時間を使う。


その結果として人が必要なら、採用する。


「忙しいから採る」のではなく、「人が必要だから採る」。


採用そのものも、少しずつ変わっていくのだと思います。


人がやった方が価値の高い仕事は、たくさんあります。


だから、


「忙しいから採る」


ではなく、


「人がやることで価値が生まれる仕事が増えたから採る」。


そんな採用が増えていくのではないでしょうか。


変わったのは、「先に準備する」という考え方ではない

「忙しくなる前に、人を採る。」


この考え方は、今でも間違っていないと思います。


仕事が増えてから慌てて準備するのでは遅い。


余裕のあるうちに、次の成長に備えておく。


その本質は、今も変わりません。


変わったのは、準備の方法です。


以前は、人を採ることが中心だった。


今は、


人を採る。


AIを使う。


仕組みを変える。


外注する。


仕事そのものをなくす。


選択肢が増えました。


だから、これからは、


忙しくなる前に、キャパシティをつくる。


そのキャパシティを、


人でつくるのか。


AIでつくるのか。


仕組みでつくるのか。


おそらく、その組み合わせなのでしょう。


仕事が増えてから考えるのではなく、まだ余裕のあるうちに考えておく。


もしかすると、変わったのは「先に準備する」という経営の基本ではなく、


その準備の方法なのかもしれません。

 
 
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